自動車保険の話

私は日本損害保険協会の「損害保険募集人」の資格を持っています。簡単に言うと損保の代理店資格です。
損害保険代理店資格は募集をかけられる「募集人」と、火災保険など複雑な保険金を計算でき「登録鑑定人」資格とがあります。
一般的な自動車保険商品は募集人資格で全て網羅できます。

右の写真が募集人の資格証です。意外と大したことのないモノです…(苦笑)

さて、自動車保険といっても各社ありますのでいろいろ迷うかと思いますが、大体どこの会社でも大した違いはありません。

まずは
自賠責保険
正式名を「自動車損害賠償責任保険」「強制保険」とも言います。
これは国家が定める強制保険で、
自動車毎に加入が義務付けられています。
人身事故などを起してしまった際にはこの自賠責保険から被害者に賠償金を支払えます。

次に任意保険。
一般的に保険と言うと任意保険の事を言います。
保険の中身は大概セットになっています。
大きく分けて
賠償責任保険と傷害保険です。
人身事故を起してしまい、被害者に治療費などを支払う場合や物損事故を起してしまい、被害者への賠償責任を負う場合の保険がこの賠償責任保険です。
対人賠償責任保険は、人身事故時に相手への治療費や慰謝料など、を支払うものです。
対物賠償責任保険は、物損事故時に相手への修理代や修理充当額を支払うものです。
対人でも、対物でも言える事はその支払は過失割合に応じてしか保険会社からは支払われない事です。
「保険にはいっているから完璧」ではなく、
自分の過失分を補う事しか保険ではできません。
過失割合は今までの事故データの蓄積や判例が保険会社にありますから、警察の事故調書に基づいて事故過失割合を算定します。

一般的な事故の場合
車両Aが交差点を直進中、車両Bが右折をし、事故が発生した。
車両Aの修理見積もりは20万円。車両Bの修理見積もりは15万円。
典型的な「右直事故」です。交差点を同じ道路幅とすると、優先順位は直進車優先ですから、
大体過失割合は車両Aが20%車両Bが80%となります。
すると、車両Aの方が車両Bの方の保険会社からもらえるのは20万円の80%の16万円です。
また、自分にも20%の過失割合がありますので、車両Bの修理代の20%に当たる3万円を自分の保険の対物保険から支払う事ができます。
このようなケースの場合、相手への支払が3万円ですから、事故自体があっても保険を使用せず、
自腹で相手への支払を済ませば次年度からの等級ダウンにはなりません

人身事故の場合
運悪く、人身事故になってしまった場合相手への慰謝料には頭の痛い問題があります。
単純に、病院に行ってもらってその治療費を弁済するだけではなく、休業補償や後遺症障害に対する慰謝料。
また、相手が死亡してしまった際の遺族への慰謝料など、当事者だけでは解決できない感情的な問題も多く含みます。
基本的な賠償は保険でクリアーできるのですが、一般医師では判断しきれない障害などへの治療の保障はトラブルの元になります。
例えば「むちうち症」などのように西洋医学の所見では患者からの症状の訴えがあっても、レントゲン等には病状痕跡がのこりません。
それで、医師から「鍼灸治療」等への必要ありと言われたものは、保険の対象になりますが、患者さんが勝手に鍼灸院などに通ってしまっても
その保険料は支払われないケースがあります。
また、慰謝料など、形の無いものへの請求は裁判所などで定めた損害賠償請求決定額が必要になりますので、勝手に見積もるわけにもいきません。
示談書等で「将来にわたって後遺障害の保障をします」と書く事が多いですが、心情的にはわかりますが、
保険会社は将来に渡っての支払は保障しません

以上の様にもしもの時に多大な出費が迫られた際に助かる保険ですが、多くの人が勘違いしている事があります。

自分の過失割合分は保障されない。
これは対物保険にかかる事ですが、自分自身に過失割合があると認められた場合は、その分の費用は保険から支払われません。
過失割合は当事者間では決定できない。
保険会社ではその会社内で定める過失割合配分の規定があります。仮に、自分が100%悪いと思って、相手に「全額支払います」と約束しても、保険会社の基準が100%対0%で無い限り、相手への保障は保険会社で定めた金額しか支払いません。
保険会社は絶対ではない。
「保険屋さんに任せたから〜」と安心している人も多いですが、賠償責任というのは本来「
双方が納得するまで話し合う」のが前提です。
加害者側、被害者側両方の立場から言えることですが、納得のいかない過失割合を言われても、修理代金の不認知があっても
保険会社で定めた割合基準や修理見積もり額を超えて支払をしません

私のSLが100対0でぶつけられた時の事ですが、「ねじの見積もりが高い」とか「その不具合は事故とは関係ない」とか無茶苦茶言われました。
当然、AMGとベンツとはネジ1本でも見積額は違うのですが、正規モノでもこうですから、後付パーツだったら何を言われるかわかったもんじゃありません。
不具合の関連性も当該保険会社のアジャスターさんの判断で全てが決まります。納得がいかない場合はアジャスターの変更や修理見積もりの取り直しなども行ったほうが良いでしょう。

全損事故のケース
車両が「全損」になってしまった場合、また「全損扱い」になるケースというのがあります。
車両には「相場」と言うものがあります。「赤本」や「レッドブック」と呼ばれる相場表がどの保険会社、中古車店などにはあります。
通常このレッドブックの相場を越えた見積もりは「全損」扱いと言う事になり、相場表に出ている値段までの保障しか保険会社はしません。
当然、必要金額が認知されない方は納得がいきませんが、保険会社の規定による限界があります。
こういう判断をされた場合はまず、事故当事者の方とお話をしましょう。その上で納得の行く修理金額の話し合いをし、保険で支払われない部分を個別に保障してもらえるかどうか話し合うべきです。
後は、保険からの支払を拒否し、裁判にて賠償責任額を争うケースです。一般的な保険会社の過失割合は法的根拠から割り出した過失割合をベースに考えていますが、車両が「特別車」であったり「「特殊改造車」のケースには対応していない事が多いです。
保険会社の示談に応じる事を「
免責決定」と言います。免責決定がされたものをあとで当事者同士で話し合おうとしても、裁判所も取り上げません。

例えば、クラシックカー等の「金のかかっている車」に当ててしまった場合、パーツ代金なども特殊なモノが多く修理代金が高いケースがありますが、通常の保険会社の場合、「中古車」としてしか判断をせず、「レッドブック落ち」の車としか見ないので、とんでもない安い金額が提示されます。
その当該車両が「レッドブック落ち」してる
ボロ車なのか、「レッドブック」にも載らないプレミア車なのかの資料を普段からきちんと揃えておくべきです。

傷害保険
自動車保険で一般的なのが搭乗者傷害保険です。
これは、事故を起した車両に乗っていた人への障害に関する保険です。支払基準は人身事故の時と同じです。
但し、後払いになりますから交渉成立に時間がかかる場合などは結構困ります。
一般的な傷害保険のように、支払が早いのが人身傷害保険です。(高いですが…)
人身傷害保険に加入する事により、様々な特約事項が用意されている事が多いです。
特約事項は、全ての保険約款に優先して認められる事項ですから、各保険会社の違いを特約事項で判断されると良いでしょう。

ポイント

人身傷害保険は今までの自動車保険と違い、「車両に付随」する保険と形が少し違います。
複数車両のオーナーの場合、一台に「人身障害保険」に加入していれば、他の車両ではその契約を「親契約」として人身傷害保険に加入している事を条件とする特約事項のみを契約する事ができます。
重複払いをしていないかどうか、良くみてみましょう。

示談交渉サービスとは
保険会社は事故時の当事者間の示談交渉を行う事を保険契約のサービスと考えています。
これは
契約者が保険を使う、使わないに限らず、契約者への無料サービスですので、事故が起きた場合はすぐに保険契約会社への連絡をしましょう。 また、契約代理店も示談交渉の際に契約者に役立つ情報を提供するように指導をされていますので、保険会社を選ぶ際の基準にしてみるのも良いでしょう。

保険会社の選び方

どこがいいとか悪いとかあまり言いたくないのですが…
もしもの時の保険ですから、もしもの時に役立つところが一番です。
値段の安さを強調している外資系保険会社の場合
リスク細分型と言って、
「事故を起しにくい人」を中心に契約者を募っています。ですから安く商品を提供しています。
その反面、事故を起した際の翌年度からの
等級ダウンによる保険料アップは国内会社の比ではありません。
また、「事故が起きない」事を前提としているので、コールセンターなどの対応にも不満がかなり寄せられています。
国内大手の保険会社はコールセンターの対応にも万全を期していますが、リスク細分型保険会社の場合どうしてもその社内整備に予算を回していないと言わざるを得ません。
但し、「事故を起さないよ」と言う人にはいいでしょう。
外資保険会社から国内保険会社への等級引継ぎはほとんどできません

生命保険会社が中心の保険会社の場合
金融商品の自由化で生保と損保の垣根が無くなり、業務提携や合併が相次いでいます。
損害保険会社には代理店に対し示談交渉サービスのお手伝いをするように指導しておりますが、生保会社が参入している保険会社は、
保険契約のみを優先にし、事故交渉はセンター任せです。契約者の持つ不安感や細かい折衝などがまるで見えてきませんし、事故交渉も遅いのが事実です。

中堅保険会社の合併保険会社の場合
合併により、大手に近い保障内容になってきましたが
「いざと言う時の出し渋り」が多く見られます。「そんな事は無い」と関係者は言うでしょうが、代理店として様々なケースに直面すると、「ため息が出るような」シーンに多く当たります。また、合併した保険会社間の社内共通項目指導に不備が多く見られて、代理店さんと本社間で見解が違うことがよくあるのも特徴です。あと5年ぐらいしたらよくなるかもです。

大手保険会社の場合
全国に散らばる支店、支社数にも文句無くセンターの態度や交渉能力も文句ありません。
現在予算削減のため、小規模代理店の切捨て、統合によって顧客サービスの維持に努めています。(私もこれで切り捨てられました(苦笑))
但し、保険使用時の見積もりに対する細かな証明事などにはうるさいです。
費用は一番かかりますが、いざと言う時の保障を考えれば一番お勧めです。

私の独断と偏見による良い保険会社

東京海上火災保険
何しろ業界トップ、日本全国どこで事故を起しても対応してくれます。アジャスターの動きも早いです。
損保ジャパン
アジャスターの交渉力は一番だと思います。特約事項の「対物全損時費用担保」が魅力です。
三井住友海上
三井&住友の合併により大手になった会社です。複数年契約により「割引&等級保護」をする商品が魅力です。


戻る